開業ガイド

就労継続支援A型・B型の売上・損益シミュレーター【2026年版】

就労継続支援A型・B型事業所の運営は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス報酬が主な収入源となる一方で、A型では最低賃金保障、B型では工賃向上という特性から、綿密な経営シミュレーションが不可欠です。本シミュレーターは、2026年の報酬改定動向も踏まえ、想定される利用者数、稼働率、提供サービスに応じた売上と、人件費・家賃・作業材料費といった主要コストを詳細に試算できます。安定した事業運営のため、開業前の構想段階から本ツールを活用し、収益構造を具体的に把握しましょう。

※ 初期値は業界平均に基づく概算です。ご自身の計画に合わせて各項目の数値を変更してください。

月間売上

278万円

月間コスト

183万円

月間利益(利益率34%)

+95万円

損益分岐点売上

172万円

就労継続支援A型・B型事業所の損益分岐点は、主に障害福祉サービス報酬と、職員人件費、利用者への賃金・工賃、そして家賃などの固定費とのバランスで決まります。特にA型では、利用者の生産活動による収入が最低賃金保障を賄えるかが重要であり、B型では、生産活動収入から経費を差し引いた上で、工賃として50%以上を支払えるかが焦点となります。安定した事業運営には、利用者数を確保し、稼働率を高め、さらに各種加算を漏れなく算定することでサービス報酬を最大化し、同時に効率的な作業内容の提供とコスト管理によって、賃金・工賃の原資を確保することが不可欠です。損益分岐点を超えるには、計画的な利用者募集と質の高い支援による定着率向上が鍵となります。

売上項目

就労継続支援A型サービス費(基本報酬)120万円/月

利用者一人あたりの基本報酬。定員規模、平均利用時間、サービス提供体制によって変動。単位は「人日」。

就労継続支援B型サービス費(基本報酬)125万円/月

利用者一人あたりの基本報酬。前年度の平均工賃実績によって報酬区分が変動。単位は「人日」。

送迎加算3万円/月

利用者への送迎サービス提供に対する加算。片道につき算定。単位は「件」。

食事提供体制加算3万円/月

事業所で食事提供を行う場合の加算。単位は「人日」。

生産活動収入(請負・販売)25万円/月

企業からの作業請負、自主製品の販売などによる収入。A型では賃金原資、B型では工賃原資となる。単位は「件」。

その他加算(欠席時対応、個別支援計画作成等)2万円/月

欠席時対応加算、個別支援計画作成加算など、特定の要件を満たすことで算定できる加算。単位は「件」。

コスト項目

固定費 売上に関係なく毎月発生変動費 売上に応じて変動準変動費 基本額+変動部分
職員人件費(管理者・サビ管・職指員・生支員)固定費
120万円/月

管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員の給与・手当・社会保険料。

円/月
利用者賃金(A型)変動費
1万円/月

A型事業所の利用者に対する最低賃金保障。生産活動収入と連動。

自動計算(売上の0.4%)
利用者工賃(B型)変動費
5,555円/月

B型事業所の利用者に対する工賃。生産活動収入から経費を差し引いた額の50%以上を工賃として支払う。

自動計算(売上の0.2%)
家賃固定費
25万円/月

事業所物件の賃料。地域や広さによって大きく変動。

円/月
水道光熱費準変動費
5万円/月

電気、ガス、水道料金。利用者数や季節で変動。

円/月
消耗品費変動費
3万円/月

事務用品、清掃用品、衛生用品など。

円/月
作業材料費変動費
7万円/月

生産活動に必要な原材料費。請負作業の内容によって変動。

円/月
送迎車両関連費(リース・燃料・維持)固定費
10万円/月

送迎車両のリース料、燃料費、保険料、メンテナンス費用。

円/月
障害福祉ソフト利用料固定費
2万円/月

カイポケ、ワイズ、ほのぼのNEXTなどの実績記録・請求ソフト利用料。

円/月
コンサルティング・研修費固定費
5万円/月

開業コンサルティング費用、職員研修費用など。

円/月
利用者募集・広報費固定費
4万円/月

相談支援事業所向け広報、ウェブサイト維持費、障害者雇用バンク掲載料など。

円/月

業界ベンチマーク

人件費率(職員)

売上高の50%〜60%

職員給与・社会保険料などが売上高に占める割合。A型事業所は利用者賃金と分けて管理するのが一般的です。

利用者稼働率

80%以上

定員に対する実際の利用者数の割合。サービス報酬の最大化に直結します。

B型事業所平均工賃

月額16,507円(令和3年度)

厚生労働省発表の全国平均工賃。工賃向上計画により、この水準以上を目指すことが重要です。

固定費比率

売上高の30%〜40%

家賃、リース料、固定的な人件費などが売上高に占める割合。変動費とのバランスが経営の安定性を左右します。

リスク要因

  • 障害福祉サービス報酬改定による収入減。3年に一度の改定動向を常に注視し、先手を打った事業計画の見直しが必要です。
  • 利用者数の変動と稼働率の低下。特に新規利用者獲得が計画通りに進まない場合、サービス報酬が大幅に減少し、固定費の負担が重くなります。
  • 作業請負先の確保難や契約打ち切り。安定した生産活動収入を得るためには、複数の取引先との関係構築と、多様な作業内容の提供体制が求められます。
  • サービス管理責任者などの有資格職員の離職による人員基準欠如。基準違反は指定取り消しにも繋がりかねないため、人材定着と育成が急務です。
  • 利用者の特性に合わせた支援体制の構築遅延や、個別支援計画の実践困難。これにより利用者の定着率が低下し、事業所評価にも悪影響を及ぼします。

プロのアドバイス

  • 相談支援事業所との密な連携体制を構築し、利用者紹介を継続的に得るための関係性を築きましょう。定期的な情報交換会や事業所見学会の実施が効果的です。
  • A型事業所では、利用者の生産性向上に直結する作業工程の改善や、技術習得プログラム導入を推進し、最低賃金以上の賃金支払いを安定化させる仕組みを構築しましょう。
  • B型事業所は、地域企業との連携を強化し、多様な作業内容を確保することで、利用者の選択肢を広げ、工賃向上計画に基づいた具体的な目標達成を目指しましょう。
  • 障害福祉サービス報酬の各種加算(例: サービス提供体制強化加算、就労移行支援体制加算)の算定要件を深く理解し、計画的に取得することで、事業所の収益基盤を強化できます。
  • サービス管理責任者や職業指導員など、人員基準で定められた専門職の継続的なスキルアップ研修を義務付け、個別支援計画の質の向上と利用者の満足度向上に繋げましょう。

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