開業ガイド

訪問看護ステーションの売上・損益シミュレーター【2026年版】

訪問看護ステーションの開業は、地域医療への貢献と専門性を活かす大きなチャンスです。しかし、介護保険・医療保険制度の複雑な報酬体系、看護師・療法士の人材確保、利用者獲得のための居宅介護支援事業所連携など、多岐にわたる課題に直面します。本シミュレーターは、これらの要素を網羅し、売上予測からコスト管理、損益分岐点までを具体的に可視化。精緻な事業計画策定を支援し、安定したステーション運営への第一歩を力強くサポートします。

※ 初期値は業界平均に基づく概算です。ご自身の計画に合わせて各項目の数値を変更してください。

月間売上

244万円

月間コスト

222万円

月間利益(利益率9%)

+22万円

損益分岐点売上

217万円

訪問看護ステーションにおける損益分岐点とは、介護保険・医療保険からの報酬と自費サービス収入の合計が、人件費、家賃、車両費、消耗品費などの全ての経費を上回る売上高を指します。特に、複雑な報酬体系と高い人件費率が特徴であるため、月間の訪問回数や利用者数を具体的にシミュレーションし、どの程度の稼働で黒字化できるかを把握することが極めて重要です。特定事業所加算や24時間対応体制加算などの取得も、損益分岐点達成に大きく寄与します。

売上項目

介護保険 訪問看護費 (基本)120万円/月

要介護認定者に対する計画的な訪問看護サービス提供による介護報酬です。身体介護や生活援助など、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づきます。

医療保険 訪問看護基本療養費68万円/月

疾病・負傷により居宅で継続的な医療処置が必要な方への訪問看護サービス提供による医療報酬です。主治医の訪問看護指示書に基づきます。

特定事業所加算20万円/月

質の高いサービス提供体制を評価する加算です。24時間対応体制、研修体制、多職種連携などが要件となります。

24時間対応体制加算15万円/月

利用者からの緊急時連絡に対し、常時対応できる体制を確保している事業所が算定できます。オンコール対応が必須です。

自費サービス7万円/月

保険適用外のサービスで、利用者の多様なニーズに応えるものです。家事援助、外出介助、見守り、保険外の専門的な相談などが含まれます。

精神科訪問看護基本療養費14万円/月

精神疾患を持つ利用者への専門的な訪問看護サービスです。専門性の高い看護師によるケアが求められます。

コスト項目

固定費 売上に関係なく毎月発生変動費 売上に応じて変動準変動費 基本額+変動部分
人件費 (看護師・療法士)準変動費
120万円/月

常勤・非常勤の看護師、理学療法士、作業療法士への給与、賞与、諸手当です。訪問件数や利用者数に応じて変動する部分もあります。

円/月
人件費 (事務員・管理者)固定費
40万円/月

管理者および事務スタッフの給与です。請求業務や利用者・連携機関対応など、ステーション運営に不可欠な役割を担います。

円/月
法定福利費準変動費
20万円/月

健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの事業主負担分です。人件費に連動して発生します。

円/月
事務所家賃固定費
15万円/月

事業所として使用する物件の月額賃料です。立地や広さにより大きく異なります。

円/月
車両費準変動費
8万円/月

訪問時の移動に使用する車両のリース代、ガソリン代、駐車場代、メンテナンス費用です。訪問件数に応じてガソリン代は変動します。

円/月
通信費・ICTシステム利用料固定費
4万円/月

電話、インターネット回線費用、訪問看護記録システムや介護請求ソフトの月額利用料です。業務効率化に不可欠です。

円/月
消耗品費・医療材料費変動費
5万円/月

消毒液、手袋、ガーゼ、包帯、オムツなどの衛生用品や医療処置に必要な材料費です。利用者数や提供サービス内容に比例します。

円/月
広告宣伝費・広報費固定費
3万円/月

居宅介護支援事業所や病院への挨拶回り、パンフレット作成、地域イベント参加費用など、利用者獲得や連携強化のための活動費です。

円/月
教育研修費固定費
2万円/月

看護師・療法士のスキルアップのための外部研修参加費や内部研修費用です。特定事業所加算の要件にも含まれます。

円/月
保険料 (賠償責任保険等)固定費
2万円/月

業務中の事故や過失に備える賠償責任保険、車両保険などの費用です。万一の事態に備え加入が必須です。

円/月
税理士・社労士顧問料固定費
3万円/月

税務申告、労務管理、社会保険手続きなど、専門家への顧問料です。複雑な制度対応をサポートします。

円/月

業界ベンチマーク

人件費率

60〜70%

訪問看護ステーションの総売上に対する人件費の割合です。一般的に60%を超えるとされています。看護師・療法士の確保が難しく、高い給与水準が求められるためです。

看護師の平均稼働率

60〜75%

看護師一人あたりの訪問時間(実稼働時間)が全体の労働時間に占める割合です。移動時間や記録作成時間、研修時間を考慮すると、フルタイムでも75%程度が現実的です。

介護・医療報酬返戻率

1〜3%未満

請求ミスや記載不備により審査支払機関から返戻される請求書の割合です。5%を超えると経営を圧迫する要因となります。適切な請求業務とICT活用が重要です。

安定した利用者獲得までの期間

6ヶ月〜1年

新規開設後、安定的な利用者数を確保し、損益分岐点を超えるまでの目安期間です。居宅介護支援事業所との連携構築に時間を要します。

リスク要因

  • 看護師・療法士の採用難と定着率の低さ:訪問看護経験者の確保が非常に困難であり、採用コストの高騰やサービス提供体制の不安定化を招きます。オンコール負担や夜勤がないとはいえ、一人での訪問に対する不安感も定着を妨げる要因です。
  • 利用者獲得の遅延と居宅介護支援事業所との連携不足:開業後すぐに安定した利用者数を確保できない場合、売上が計画を下回り、経営を圧迫します。ケアマネジャーとの信頼関係構築には時間がかかり、新規参入の障壁となることがあります。
  • 介護報酬・医療報酬の請求ミスによる返戻リスク:複雑な請求ルールへの理解不足やシステム入力ミスは、報酬の返戻や遅延を招き、資金繰りを悪化させます。特に、介護保険と医療保険の併用利用者への対応は専門知識が必要です。
  • オンコール体制による職員の疲弊と離職:夜間・休日の緊急訪問対応は、訪問看護師にとって大きな負担となります。これが原因で離職に繋がるケースも多く、24時間対応体制の維持が困難になるリスクがあります。

プロのアドバイス

  • 人材確保は最優先課題。特に訪問看護経験者は採用が困難なため、待遇だけでなく、オンコール負担軽減策(当番制、外部委託検討)やICTを活用した記録業務の効率化で魅力的な職場環境を構築し、定着率向上を図りましょう。
  • 利用者獲得のためには、地域内の居宅介護支援事業所や病院、診療所との密な連携が不可欠です。開業前から積極的に訪問し、ステーションの強み(例:精神科専門、看取り対応強化)を伝え、信頼関係を築くことが早期の利用者紹介に繋がります。
  • 介護保険・医療保険の請求業務は非常に複雑で、返戻率が経営を左右します。開業時に介護請求ソフトや訪問看護記録システムを導入し、請求ミスを未然に防ぐ体制を構築。必要に応じて請求代行サービスも検討しましょう。
  • BCP(事業継続計画)の策定と定期的な見直しは、指定基準で義務化されています。災害時だけでなく、感染症流行時や職員の急な欠員時にも事業を継続できるよう、具体的な手順や代替手段を明文化し、全職員で共有・訓練しておきましょう。
  • 多角的な収益源の確保として、保険外サービス(自費サービス)の導入を検討しましょう。例えば、保険では対応できない家事援助や長時間の見守り、外出介助など、利用者のニーズを捉えたサービスは、経営の安定化と地域貢献に繋がります。

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