開業ガイド

肉屋・精肉店の売上・損益シミュレーター【2026年版】

肉屋・精肉店の開業は、高品質な食肉を提供し、食文化を豊かにするやりがいある事業です。しかし、生肉のHACCPに沿った厳格な衛生管理、枝肉の脱骨や整形といった専門技術、そして冷蔵・冷凍設備への大規模な初期投資と高額な電気代など、特有の課題も多く存在します。このシミュレーターでは、肉屋・精肉店経営における売上とコストの具体的な項目を提示し、開業後の安定した収益確保に向けた計画立案をサポートします。

※ 初期値は業界平均に基づく概算です。ご自身の計画に合わせて各項目の数値を変更してください。

月間売上

202万円

月間コスト

275万円

月間利益(利益率-36%)

-732,664円

損益分岐点売上

415万円

黒字化まであと月 213万円 の売上が必要です

肉屋・精肉店における損益分岐点は、高額な設備投資に伴う減価償却費、冷蔵・冷凍設備による高い電気代、そして原材料費率の高さが特徴です。特に、月々の固定費(家賃、人件費、減価償却費、HACCP関連費用)と変動費(原材料費、包装資材、決済手数料)を正確に把握し、いかに効率的な精肉加工で歩留まりを改善し、高単価なシャルキュトリーや熟成肉で粗利率を高めるかが、早期の損益分岐点達成に直結します。損益分岐点売上高は、固定費 ÷ (1 - 変動費率) で算出され、この売上高を超えた時点から利益が生まれます。

売上項目

精肉販売(店頭)95万円/月

和牛、国産豚、鶏肉などのブロック肉やスライス肉の店頭販売。

シャルキュトリー・加工品17万円/月

自家製ソーセージ、パテ、ハム、ベーコンなどの食肉加工品の販売。

自家製総菜・揚げ物20万円/月

コロッケ、メンチカツ、唐揚げなどの自家製総菜、弁当販売。

オンラインストア販売45万円/月

ECサイト(STORES, BASE等)を通じた全国への精肉・加工品発送。

飲食店向け卸売26万円/月

近隣のレストランや居酒屋へのブロック肉、加工品の卸売。

コスト項目

固定費 売上に関係なく毎月発生変動費 売上に応じて変動準変動費 基本額+変動部分
原材料費(枝肉・ブロック肉仕入れ)変動費
137万円/月

和牛、国産豚、輸入肉などの仕入れ費用。中央卸売市場や食肉卸業者からの購入。

自動計算(売上の68%)
店舗家賃固定費
28万円/月

店舗物件の月額賃料。

円/月
人件費固定費
55万円/月

店主の給与、従業員の給与・手当。

円/月
光熱水費(特に電気代)準変動費
18万円/月

冷蔵ショーケース、冷凍庫、熟成庫、ミートスライサーなどの電気代、水道代。

円/月
包装資材・消耗品変動費
7万円/月

真空パック袋、トレー、ドリップシート、ラベル、レジ袋など。

円/月
広告宣伝費固定費
4万円/月

チラシ、地域情報誌、SNS広告、ウェブサイト運営費用。

円/月
配送費・送料変動費
5万円/月

オンライン販売の送料、飲食店への配送費用、仕入れ時の運賃。

円/月
減価償却費(設備)固定費
12万円/月

冷蔵ショーケース、ミートスライサー、ミートチョッパー、熟成庫などの減価償却費。

円/月
HACCP関連衛生費用固定費
3万円/月

食品衛生責任者講習費用、定期的な衛生検査費用、消毒液、清掃委託費、防虫防鼠対策。

円/月
決済手数料変動費
6万円/月

クレジットカード、電子マネー、QRコード決済などの手数料。

自動計算(売上の3.2%)

業界ベンチマーク

原材料費率(原価率)

60〜75%

精肉店経営において最も大きなコスト。仕入れ価格、歩留まり、販売価格の設定が収益性を左右します。

人件費率

15〜25%

専門性の高い精肉加工技術者や食品衛生責任者の確保が必要なため、適切な人件費管理が求められます。

家賃比率

5〜10%

店舗面積や立地により変動。冷蔵・冷凍設備スペースやバックヤードの広さも考慮し、無理のない家賃を選定しましょう。

光熱水費比率(特に電気代)

3〜7%

冷蔵・冷凍設備の常時稼働により電気代が高額になりがちです。省エネ設備の導入や契約電力の見直しが重要です。

リスク要因

  • 食中毒リスクとHACCP違反: 生肉を扱うため、食中毒発生時の事業継続への影響は甚大です。HACCPに沿った衛生管理の不備は、営業停止処分やブランドイメージ失墜に直結します。
  • 大手スーパー・食肉卸との価格競争: 大量仕入れによる価格競争力で劣るため、品質、加工技術、専門性、顧客体験での差別化が不可欠です。
  • 原材料価格の変動と仕入れルートの確保: 畜産物の価格は天候や疫病、国際情勢に左右されやすく、安定した仕入れ先の確保と価格変動リスクへの対応が重要です。
  • 精肉加工技術者の不足: 枝肉の脱骨や整形といった専門技術を持つ人材は限られており、人材育成や確保が経営上の大きな課題となります。
  • 冷蔵・冷凍設備の故障と高額な電気代: 設備トラブルは商品の品質劣化に直結し、事業停止のリスクがあります。また、電気代の高騰は収益を圧迫するため、省エネ対策と予備電源の検討が必要です。

プロのアドバイス

  • HACCPに沿った衛生管理計画は、単なる義務ではなく、顧客への信頼と食肉の品質保持に直結します。毎日・毎回の記録を徹底し、監査に備えるだけでなく、従業員全員で衛生意識を高く保ちましょう。
  • 枝肉の仕入れでは、単価だけでなく、肉質、歩留まり、そして脱骨・整形後の利用部位を最大化する技術が利益を左右します。信頼できる食肉卸業者を見つけ、定期的な情報交換で市況を把握しましょう。
  • 熟成肉(ドライエイジング)の導入を検討する際は、専用の熟成庫と厳密な温度・湿度管理が必須です。初期投資は大きいですが、高付加価値商品として差別化を図り、固定客を囲い込む強力な武器となります。
  • オンラインストアの運用では、鮮度保持のための適切な梱包(真空パック、保冷剤、クール便)と、和牛の等級や部位、おすすめの調理法を詳細に伝えるコンテンツが購入意欲を高めます。
  • 顧客単価アップには、自家製シャルキュトリーの開発が有効です。パテ・ド・カンパーニュ、リエット、ソーセージなど、精肉加工で出る端材も活用し、高付加価値商品として提供することで、原価率を改善し収益性を高められます。

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