開業ガイド

司法書士事務所の売上・損益シミュレーター【2026年版】

司法書士事務所の開業にあたり、安定した経営基盤を築くためには、綿密な売上・損益計画が不可欠です。本シミュレーターでは、不動産登記、商業登記、相続、成年後見といった主要業務の収益性と、事務所運営にかかる固定費・変動費を具体的に試算できます。開業後のキャッシュフローを予測し、堅実な事業計画を策定するための羅針盤としてご活用ください。ITツール導入や他士業連携による効率化も視野に入れ、自身の専門性を活かした高収益モデルを構築しましょう。

※ 初期値は業界平均に基づく概算です。ご自身の計画に合わせて各項目の数値を変更してください。

月間売上

92万円

月間コスト

47万円

月間利益(利益率48%)

+44万円

損益分岐点売上

47万円

司法書士事務所における損益分岐点とは、全ての固定費(事務所家賃、人件費、会費、システム利用料など)と変動費(旅費交通費、消耗品費など)を賄えるだけの売上高を指します。これを下回ると赤字経営となります。損益分岐点を早期に達成するためには、不動産登記や商業登記といった基幹業務に加え、相続手続き一式や成年後見業務など高付加価値・継続収入が見込める業務の比率を高めることが重要です。また、登記・供託オンライン申請システムの活用やクラウド型業務管理システムの導入により、業務効率を最大化し、変動費・固定費を抑える戦略も欠かせません。

売上項目

不動産登記申請(所有権移転等)38万円/月

売買や相続、贈与等による不動産の所有権移転登記申請業務。司法書士業務の基幹。登録免許税額によって報酬が変動するケースも多い。

商業登記申請(役員変更等)12万円/月

会社の設立、役員変更、本店移転、増資などに関する商業・法人登記申請業務。顧問契約による継続的な受任も見込める。

相続手続き一式(遺産承継業務)25万円/月

相続登記だけでなく、預貯金解約、株式名義変更など、遺産承継業務全体をサポート。高単価案件になりやすい。

成年後見等申立5万円/月

高齢者や障がい者の財産管理・身上監護を行う成年後見人等の選任申立業務。継続的な報酬が見込める。

債務整理(任意整理)10万円/月

消費者金融等からの借入で困っている方の任意整理手続き。過払い金請求は減少傾向だが、依然ニーズがある。

法律相談料2万円/月

各種法律相談に対する時間制の相談料。他の業務への受任に繋がる入口。

コスト項目

固定費 売上に関係なく毎月発生変動費 売上に応じて変動準変動費 基本額+変動部分
事務所家賃固定費
12万円/月

事務所を賃借する際の月々の費用。立地や広さによって大きく変動。

円/月
人件費(事務員1名)固定費
25万円/月

事務処理や来客対応を行う事務員の給与、社会保険料等。開業当初は自身で全て行う場合も。

円/月
通信費・インターネット固定費
2万円/月

電話、FAX、インターネット回線、携帯電話等の費用。オンライン申請に必須。

円/月
消耗品費・書籍代変動費
92円/月

文房具、コピー用紙、インク、業務関連の専門書籍や判例集の購入費。

自動計算(売上の0.01%)
旅費交通費変動費
137円/月

裁判所、法務局、顧客先への移動にかかる交通費。遠方案件が多いと増加。

自動計算(売上の0.015%)
広告宣伝費固定費
3万円/月

ウェブサイト制作・運用費、士業ポータルサイト掲載料、名刺・パンフレット作成費。

円/月
会費(司法書士会等)固定費
2万円/月

日本司法書士会連合会および所属する単位司法書士会の月会費。登録免許税も別途必要。

円/月
司法書士賠償責任保険料固定費
5,000円/月

業務上の過失による損害賠償に備える保険料。加入が実質的に義務付けられている。

円/月
登記申請システム利用料固定費
2万円/月

登記・供託オンライン申請システムと連携する専門ソフトの月額利用料。

円/月
クラウド会計・業務管理システム固定費
1万円/月

freee会計やマネーフォワード、士業向け業務管理システム(LEGALIS等)の月額利用料。

円/月
研修・セミナー費用固定費
8,000円/月

法改正対応や専門分野の知識習得のための研修会・セミナー参加費。

円/月

業界ベンチマーク

総固定費比率

売上高の50〜65%

家賃、人件費、会費、システム利用料など、売上に関わらず発生する固定費の割合。この比率が高いと損益分岐点が高くなる。

人件費率

売上高の20〜30%

従業員の給与・賞与・法定福利費が売上高に占める割合。開業当初は代表者自身の報酬を除く。

IT投資比率

売上高の2〜5%

登記申請システム、クラウド会計、業務管理システム、電子契約サービスなどのIT関連費用が売上高に占める割合。業務効率化に直結。

広告宣伝費率

売上高の3〜8%

ウェブサイト、士業ポータル、SNS広告など、顧客獲得のための費用が売上高に占める割合。開業当初は高めになる傾向。

リスク要因

  • 不動産取引市場の低迷や金融機関の再編・統合により、不動産登記案件が大幅に減少するリスク。
  • 登記業務の更なる電子化・AI化の進展により、定型的な業務の報酬単価が下落、または業務自体が縮小するリスク。
  • 弁護士、税理士、行政書士といった他士業との競合激化により、顧客獲得が困難になり、報酬単価の維持が難しくなるリスク。
  • 特定の金融機関や不動産会社からの紹介案件に過度に依存している場合、その紹介が途絶えた際に経営が不安定になるリスク。
  • 個人情報保護法の違反や登記申請ミス、成年後見業務における不適切な対応などにより、損害賠償請求や士業としての信用失墜に繋がるリスク。

プロのアドバイス

  • 不動産会社、金融機関、税理士事務所との連携を深め、安定的な不動産登記・相続登記案件の紹介ルートを複数確保することが、開業初期の売上安定に不可欠です。
  • 相続手続きにおいては、登記だけでなく遺産整理業務や遺言書作成支援まで含めたワンストップサービスを提供し、顧客単価の向上と他士業との差別化を図りましょう。
  • 登記・供託オンライン申請システムを最大限に活用し、電子申請比率を高めることで、郵送費や印紙代、移動時間を削減し、事務処理コストを大幅に効率化できます。
  • 成年後見業務は単価こそ高くないものの、継続的な報酬が見込める安定収入源です。地域包括支援センターや病院、介護施設等との連携を強化し、受任数の増加を目指しましょう。
  • LEGALIS等の士業向け業務管理システムを導入し、顧客情報、案件進捗、請求・入金管理を一元化することで、複雑な司法書士業務の効率を劇的に向上させ、ヒューマンエラーを削減できます。

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