開業ガイド

訪問介護事業所の売上・損益シミュレーター【2026年版】

訪問介護事業所の開業をご検討の皆様へ。高齢化社会の進展に伴い需要が高まる訪問介護事業ですが、安定した経営には売上とコストの綿密なシミュレーションが不可欠です。本シミュレーターでは、介護報酬改定の影響、人材確保の課題、効率的な訪問スケジューリングといった訪問介護事業特有の要素を考慮し、事業の採算性を可視化します。身体介護や生活援助といった主要サービスごとの収益性、サービス提供責任者や訪問介護員の人件費、介護ソフトの導入費用などを具体的に設定することで、あなたの事業計画をより現実的なものへと導きます。初期投資目安100〜300万円と言われる中で、失敗しないための第一歩を踏み出しましょう。

※ 初期値は業界平均に基づく概算です。ご自身の計画に合わせて各項目の数値を変更してください。

月間売上

185万円

月間コスト

197万円

月間利益(利益率-6%)

-115,383円

損益分岐点売上

211万円

黒字化まであと月 26万円 の売上が必要です

訪問介護事業所における損益分岐点とは、売上と費用が同額になる点、つまり利益も損失も出ない状態を指します。この事業では、管理者やサービス提供責任者の給与、事務所家賃、介護ソフト利用料といった固定費と、ヘルパーの時給、燃料費、消耗品費などの変動費を明確に区別することが重要です。損益分岐点を下げるためには、固定費の圧縮だけでなく、効率的な訪問スケジューリングによるヘルパーの稼働率向上、特定事業所加算など各種加算の積極的な取得による単位単価の引き上げが効果的です。特に、介護報酬改定の影響を受けやすいため、常に最新の情報を把握し、サービス提供件数と単価のバランスを最適化する戦略が不可欠となります。

売上項目

身体介護サービス113万円/月

食事・入浴・排泄介助など、利用者の身体に直接触れる介助サービス。20分以上45分未満の単価を想定。

生活援助サービス58万円/月

調理・洗濯・掃除など、利用者の生活を間接的に支援するサービス。20分以上45分未満の単価を想定。

通院等乗降介助6万円/月

通院等のため、乗降の介助や移動中の介護を行うサービス。片道1回あたりの単価。

自費サービス9万円/月

介護保険適用外のサービス。例: 病院内での付き添い、庭の手入れ、ペットの世話など。

特定事業所加算(I)1円/月

質の高いサービス提供体制を評価する加算。算定条件を満たすことで、全体の介護報酬に上乗せ。

介護職員処遇改善加算(I)1円/月

介護職員の賃金改善に充てるための加算。計画的な実施と実績報告が必要。

コスト項目

固定費 売上に関係なく毎月発生変動費 売上に応じて変動準変動費 基本額+変動部分
管理者給与固定費
35万円/月

事業所の運営を統括する管理者の月額給与。

円/月
サービス提供責任者給与固定費
30万円/月

訪問介護計画の作成、利用者・ヘルパーとの連絡調整を行うサービス提供責任者の月額給与。

円/月
訪問介護員(ヘルパー)給与変動費
102万円/月

利用者宅で直接サービスを提供するヘルパーの時給換算給与。稼働時間に応じて変動。

自動計算(売上の55%)
事務所家賃固定費
10万円/月

事業所の賃料。立地や広さにより変動。

円/月
車両費準変動費
5万円/月

ヘルパーの移動にかかる燃料費、駐車場代、車両維持費など。

円/月
通信費固定費
2万円/月

電話代、インターネット回線費用、ヘルパー用携帯電話費用。

円/月
介護ソフト利用料固定費
2万円/月

介護記録、請求業務、シフト管理などに使用する介護ソフトの月額費用。

円/月
求人広告費固定費
8万円/月

ヘルパー採用のための求人サイト掲載費用や広告費。

円/月
消耗品費変動費
2万円/月

事務用品、清掃用品、一部の介護用品など。

自動計算(売上の1%)
研修費固定費
1万円/月

ヘルパーのスキルアップや法令遵守のための研修費用。

円/月
事業所賠償責任保険料固定費
5,000円/月

サービス提供中の事故やトラブルに備える保険費用。

円/月

業界ベンチマーク

総人件費率

売上高の50%〜60%

訪問介護事業所のコストの大部分を占めるのが人件費です。ヘルパーの給与、サービス提供責任者、管理者の給与を含みます。処遇改善加算の活用でこの比率を適切に管理しつつ、人材の定着を図ることが重要です。

ヘルパー稼働率

月間100時間以上/人

一人あたりのヘルパーが月にどれだけサービス提供に従事しているかを示す指標です。稼働率が高いほど収益性が向上しますが、過重労働にならないよう適切なスケジュール管理が求められます。

特定事業所加算(I)取得

売上高の10%加算

質の高いサービス提供体制を評価する加算であり、取得することで全体の介護報酬を大幅に引き上げられます。計画的な研修実施や会議開催など、算定条件のクリアが重要です。

営業利益率

5%〜10%

一般的な訪問介護事業所の健全な営業利益率の目安です。介護報酬改定や人件費の高騰により変動しやすいため、常にコスト構造を見直し、効率的な運営を目指す必要があります。

リスク要因

  • 介護職員(ヘルパー)の人材不足が深刻であり、採用難や高離職率が事業継続の最大のリスクとなります。安定した人員確保が最重要課題です。
  • 2〜3年ごとに行われる介護報酬改定により、サービス単価や加算の条件が変更され、収益構造が大きく変動する可能性があります。常に情報収集と事業計画の見直しが必要です。
  • 利用者の体調不良による急なキャンセルや、入院・施設入所によるサービス利用終了は、訪問件数の減少に直結し、計画的な売上達成を困難にします。
  • サービス提供中の転倒事故、誤嚥、物品破損などのトラブルが発生した場合、利用者の安全確保と事業所としての賠償責任が問われるリスクがあります。
  • 地域内での競合事業所の増加により、利用者獲得競争が激化し、ヘルパーの引き抜きなどが発生する可能性もあります。独自の強みを明確にする必要があります。

プロのアドバイス

  • 介護職員処遇改善加算を活用し、ヘルパーの給与水準を地域トップクラスに設定することで、人材確保と定着率向上を図りましょう。キャリアパスの提示も重要です。
  • カイポケやワイズなどの介護ソフトを最大限に活用し、訪問スケジュールの自動最適化機能で移動効率を高め、ヘルパーの労働時間とサービス提供件数のバランスを最適化してください。
  • 特定事業所加算、緊急時訪問加算、中山間地域等における小規模事業所加算など、算定可能な介護報酬加算は全て取得を目指しましょう。加算要件の定期的な見直しが収益に直結します。
  • 地域の居宅介護支援事業所との密な連携は、安定的な利用者紹介に不可欠です。定期的な情報交換会や事業所説明会を開催し、信頼関係を構築してください。
  • 介護保険外の自費サービス(例:長時間の付き添い、趣味活動支援)を充実させ、多様な利用者ニーズに応えながら、収益の多角化を図りましょう。地域の特性に合わせたサービス開発が鍵です。

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